キリスト教の茶道への影響

茶道文化 人と道具

1.キリスト教の茶道への影響

千利休は、丁度キリスト教が堺で栄え始めた同時代を生きていますので、キリスト教は茶道に大きな影響を与えたのではないかと言われています。裏千家千玄室前家元、武者小路千家千宗守家元が語られたキリスト教の影響を語られた関連記事をまとめてみました。また後半には、私が外国人向けに「茶道文化とキリスト教の影響」の説明としてまとめたPPTの一部を、ご参考までに掲載します。

2.禅とキリスト教を取り入れ茶の湯を茶道に高めた千利休の慧眼 前家元千玄室

中世末(1577)に来日したキリスト教宣教師ジョアン・ロドリゲスは、 堺で茶の湯に接し驚いたと、いまもバチカンの図書室にある『日本教会史』に述べている。 小さな茶の家、それは市中の山居であり、まるで隠者の家の風を表している。 茶の湯は、あらゆる人を温和にさせ身分の上下なく、謹んで椀を主と客で楽しむ。 床の飾りに野の花の一輪、そこには自然とも一体と感じられる雰囲気があった。 祈りに近い環境であると。多くのバテレンが千利休に茶の湯を習い、キリストの教えを広げた。 禅宗を背景とする茶の湯がキリスト教と一体になり、いわば東西文化の交流の基をつくったのである。利休の茶はあらゆる宗教のカタルシス(受肉)の如きで、 茶室の小さな入り口は狭き門であり、 その門をくぐるためには階級も何もない裸の人間にならなくてはならない。 武家はすべて帯刀を外し、扇子一本だけの丸腰で茶室に入る。「和」、即ち平和をつくるのがこの茶室であった。 イエスの教え「狭き門を求める者は命の泉に達す」。 この狭き門が茶室の入り口「にじり口」であろう。 茶の湯は日本の宗教、そして中国の儒教・道教の教えを精神に取り入れ、たくみに日本化した総合文化なのである。歴史と伝統は一体のように考えられるが、 歴史は時代時代においてあった あらゆる事象が正しく伝えられるものとして必要なものであり、 伝統は人間が生活の上に必要とされるもの、いわゆる生活文化が時とともに 次世代に受け継がれてできてゆくものである。(出典:※『致知』2017年12月号     ※連載「巻頭の言葉」P4 より)

3.茶の湯の作法、濃茶の回し飲みはキリスト教の影響 日経新聞2010年12月16日

利休作法を伝える千家の家元さんが、武者小路千家の家元、千宗守さんが、そう思うとエッセイを書かれたのです。引用します。

・濃茶の回し飲みは、茶事で一座した4,5人が1つの茶碗を回し、同じ茶碗の同じ飲み口からお茶を飲む。戦乱が収まりきらない世にあって、千家の租の利休が提唱、茶事に一座した武将のたちの心を和ませた。回し飲みの作法の効用は大いに認める。だが、作法自体がどのようにして興ったかについて、私はかねて不思議に思っていた。箸や食事の碗をみても分かるように、日本では自身のものを持ち、他人との共用を好まない。食に関する作法は極めて個人主義だ。

・なぜ、濃茶は例外かという疑問が私にはずっとあった。そんなある日、ふとカトリックにおける「聖体拝領」の儀式の影響かもしれないと思った。・・・・・「聖体拝領」で、カトリック司祭たちがキリストの血と体の象徴として、パンを食し、ワインを1つの杯で回し飲んでいた記憶とつながったのだ。利休の時代は南蛮人が渡来し、キリストの布教が盛んに行われた。利休の弟子にもキリシタン大名がいたから、この推測は全くの的外れでもないだろう。

・裏付ける資料がひょっとすると、バチカンの法王庁に残されているかもしれない。そう考えて、私はお手紙をだした。ローマ法王から、「あなたの仮説を裏付ける資料はある。いずれ公開されるだろう」とのお言葉を下さった、そうです。1994年3月9日のことです。資料はまだ見つかっていない・・・。

4.Influence of Christianity to Tea Ceremony

Tea seeds, Tea utensils and Zen Buddhism was brought from China.  During 15th ~ 16th century, drinking tea became popular among aristocrats, elite samurai and merchants.  In 1549 Francis Xavier came to Sakai city in Osaka where Rikyu was a young man.

Christian missionaryAlejandro Valignano,, stayed in Japan during 1572 to 1603 and wrote “Il Cerimoniale per i Missionari del Giappone.”(日本の風習と流儀に関する注意と助言).  He stated that “Tea ceremony is commonly conducted in Japan and Christian missonary should learn and be accustomered to Tea Ceremony. Therefore all church in Japan must have space for performing tea ceremony so that priest should welcome church visitors through tea ceremony.”

Sen, Genshitsu(千玄室), former Grand Tea Master, wrote in the magazine article of “Chichi(致知) ”of Dec. 2017.

“ Rikyu was a merchant in Osaka, and studied the art of tanka poetry, tea ceremony, Zen Buddhism and Christianity.  He made efforts to harmonize Eastern & Western religious  philosophy and formed his “Wabi Style of Tea Ceremony.  Actually many of his disciples are Christian.  He taught Tea Ceremony to Christian missionary. Influence of Christianity is also found in Rikyu’s Tea House, Tea Garden and code of conducts of Tea Ceremony.”

Rikyu’s wife and daughter were Christian.  Three of His famous 7 disciples are Christian and others were also under strong influence of Christianity.  Among them Takayama, Ukon was a brilliant war load warrior and well known Tea disciple of  Rikyu. He converted 18,000, 72% of his territory’s population, to Christian and often held Tea Ceremony inviting village people.  During the peak time, 2% of Japanese population, about 220,000 people became Christian.  30% of Feudal War Load became Christian.

When Christian was banned in 1587,  many people defected from Christian. Toyotomi, Hideyoshi sent Rikyu to persuade Ukon to give up Christianity and keep Feudal Load position.  But Ukon rejected and gave up all his property and position to keep his faith to Christ. He was protected by Maeda family in Kanazawa, big feudal war load, until Tokugawa, Ieyasu expel him to Manila, Philippine in 1614.  Ukon died next year.  Ukon’s beatification was approved in 2016.

Influence of Christianity to Tea Ceremony is found in various aspect.

Commemoration Ceremony for Ukon‘s beatification was held at Takatsuki Church in Osaka on April 25th, 2017.  Sen, Genshitsu made memorial speech siting  narrow gate story.

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